永遠を映す一期の茶会 | カリグラフィーが紡ぐ、時を超えた絆
- Mihoko Blue
- 11月18日
- 読了時間: 6分
更新日:11月24日
おはようございます。
Blue blue LettersのMihokoです。
日ごと、木々が深く濃く色づいてきましたね。ここ、奈良西ノ京も紅葉が見頃を迎えています。朝は、澄んだ空気が心地よくて、お昼間は青空が広がり歩く足取りも軽く、夜は吹く風が冷たいけれど星空がとても綺麗……そんな晩秋は、わたしの一番好きな季節です。

思い入れのあるコラボレーション第3弾
そんな心地よい晩秋の晴れた日に、この秋のスペシャルコラボワークショップの三つ目、それも一番時間も労力も思いもかけて企画準備してきた、思い入れのあるイベントを開催しました。
今回のコラボレーションの相手は、なんと親友二人。わたしの高校からの同級生です。高校は帰国子女受け入れ校だったため、同級生はみんなとても個性的。歳を重ねても魅力的な人たちばかりです。ずっと今でも一緒に過ごすことの多い親友の一人が茶道の先生、もう一人がテーブルコーディネートセンス抜群の器の達人、そんな二人とコラボレーションをすることになったのです!
わたしはもちろん、カリグラファーとしてお茶会のペーパーアイテムを担当することになりました。
「永遠を映す一期の茶会」誕生の物語
きっかけは、友人の一言
きっかけは、今年45周年を迎える高校のHome Coming Dayを機に一時帰国することになったアメリカに住む同級生。彼女の「今度帰国したら、家庭画報のようなツアー体験をしてみたい」というリクエストに応えて、わたしたち3人の得意を活かしたお茶会をシークレットに計画することにしました。家庭画報の特集に組まれているような、秋の奈良で味わう特別なお茶会、その名も**「永遠を映す一期の茶会」**……素敵でしょう。もう、アイデア出す段階からワクワクが止まりませんでした。
テーマは「Éternité」
テーマは、Éternité〜フランス語で永遠という意味です。
招待するのは、もちろん同級生。中でも、これまでなかなか会えなかった友人たちに集まってもらいます。海外など遠く離れたところで暮らす友、高校卒業以来会っていなかった友、SNSで簡単に繋がることができるようになった今でも、やはりリアルに会うのは心が高鳴ります。
数十年前、あの校舎で、あの寮で、あの教室で、居合わせたことも、今こうして久しぶりに一緒に過ごす機会に恵まれたことも運命的で奇跡的と感じるのです。
「時を越え、離れていても、心はあの時と変わらず、永遠に」という意味を込めてこのテーマにしました。
本当に不思議なのですが、このテーマの通り、顔を合わせた瞬間に数十年ぶりの時を越えて、あの頃の記憶が蘇ってくるのでした。
母の筆で書いた掛け軸
床の間の掛け軸は、わたしがカリグラフィーで書きました。

Éternitéの文字は、毛筆で書くことに挑戦しました。書道が趣味だった母の遺品の中から、いくつか大切に残していた筆と墨が見つかり、それが奈良の墨屋古梅園さんのもの。この日のために残しておいてくれた?と感じるところもあり、母の力も借りたくて、この筆で書くことにしました。もちろん、毛筆でアルファベットを書くのは慣れていないのでかなり集中して書き込み……今のわたしの精一杯の渾身の書です。
下の文章は、書き慣れたポインテッドペンですが墨で文字入れしました。画仙紙を使ったので思いの外滲むのを、書き方を工夫することで極力滲まないようにいつもの倍くらいの時間をかけてじっくりと、ひと筆づつ想いを込めて書き上げました。

Malgré le temps et la distance,
nos cœurs restent
éternellement les mêmes.
訳: 時や距離があっても、私たちの心は永遠に変わらない。
全てわたしの手で
表装も、わたしの手で制作しました。生地を仕入れて糊付けして仕立て、掛け軸スタイルに仕上げました。正規のやり方とは違いますが、この書に合う、このお茶会のための一つしかないものをわたしの手で作り上げたかったのです。
そして、合わせる花は、ダリア。
これは今回の茶会のきっかけである彼女の家の庭に美しく咲いている花であり、彼女のイメージと重なるようなダイナミックでエレガント、幾重にも重なる深いピンクの花びらを持つ大輪のダリアが今回の茶会にぴったりでした。ダリアをモチーフに、招待状、merciカード、お品書き、ネームカードなどのペーパーアイテムも一つづつ仕上げていきました。

極上のおもてなしはプロフェッショナルな彼女たちが
いよいよお茶会当日。
奈良、西ノ京にある唐招提寺から歩いてすぐの、茶室「六松庵」に懐かしい面々が集まります。かつて伊藤博文が鎌倉で所有していた茶室をこちらに移設された特別なもの。美しい古の設えが、私たちを迎え入れてくれます。
鳥のさえずりが響くだけの、静かな茶室で、親友が心尽くしのお道具を取り揃えてくれました。花入や香合、そして薄器、お茶杓、お茶碗など素晴らしいお道具は奈良所縁のものを中心に国際色豊かで個性的なお取り合わせも見事、何よりも親友の美しい所作で点てられたお茶は格別に美味しくて。
もう一人の親友、器のスペシャリストがこの日のためにセレクトした菓子器や、飲み物のグラス類、器の数々のコーディネートも、絶妙で、うっとり美しく、まさに**「家庭画報」に掲載されているかのような大人の愉しみの極み**といった贅沢で彩り豊かな演出でした。
自然の光が障子を通して柔らかく差し込む小さな茶室で、点てられたお茶を友とともにいただくなんて、この上ない幸せ、まさに至福のひとときでした。
時と距離を超えた一期一会
数十年の時も、数万キロの距離をも超えて一期に集うひととき。
ただただ、幸せだと心が喜んでいるのです。そのきっかけをくれたアメリカの友も、喜んで参加してくれた友達も、何より数ヶ月前から企画・準備に力をともに合わせた親友二人も本当に心意気が素晴らしくて、感謝しかありません。
そして、今のわたしはなんて魅力的で素敵な人たちに囲まれてなんて幸せなんだろうと、改めて思うのでした。
心に刻まれた、永遠の一日
このお茶会を通して、改めて感じたこと。
カリグラフィーは、大切な想いを形にし、人と人を繋ぐ力を持っているということ。
一文字一文字に込めた想い、それらが空間を彩り、友人たちの心に届く。手書きの文字だからこそ、手から手へと温もりが伝わり、記憶に残るのです。

人生の中で、こんなにも心が満たされる瞬間があるのだということ。
大切な人たちと、大切な時間を、大切に過ごすこと。それは決して当たり前ではなく、むしろ奇跡のような出来事なのだと、この日、深く心に刻まれました。この日の記憶は、わたしたち一人ひとりの心の中で、永遠に色褪せることなく輝き続けるでしょう。
そして、これからも続いていく人生の中で、また新しい「永遠」を紡いでいけたらと願っています。










